News From Nowhere (Labour day)

19世紀のニューヨークで⾏われた「労働者の⽇」のパレードを描いた有名な絵を、シルクスクリーンで拡⼤し、そこに近年世界で起こったデモの旗や⾃⾝のスローガン(アーティストの労働にもっと評価を!*1 )を謳った旗などをミシン刺繍で加えながら現代の⾵刺画へと変換した作品。
 
ブレグジットやトランプ政権を⽀持する旗、または反対のメッセージ、パレスチナやイスラエルに代表される中東問題、原発、記憶に新しい⾹港のデモなど、様々な背景や異なる価値観を持つ⼈々が渾然⼀体となっている様相を可視化しようと試みている。
 
「他者」とどのように向き合うのか。
 
これは世界各地で同時多発的に認められる⾃国優先主義の流れの中でますます重要になってくるであろう、現代的な問いだ。⼈⼝減少や移⺠の受け⼊れについての是⾮が頻繁に取り上げられるここ⽇本も勿論無関係ではない。この問題をミシンの⾔語である「労働」という視点から考察していきたいと思っている。そして願わくは、⾃⾝の作品は「他者」と向き合うための媒介でありたいと思う。

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*1. ウィリアム・モリスの「芸術とは、⼈間の労働における楽しみが表現されたものだ」というスローガンを参照している。